太陽光パネルのメンテナンス点検費用相場と、メンテナンスや洗浄の必要性について

太陽光パネル発電所を所有されていると、点検や洗浄、除草といったメンテナンスの必要性や費用の相場が気になっておられるのではないでしょうか。また近年、FIT制度(固定価格買取制度)の改正により太陽光パネルの点検が義務化されたと聞いて不安になっている方もおられるのではないでしょうか。

この記事では、太陽光パネルのメンテナンスの必要性や費用の相場、洗浄方法やその効果として発電効率がどれほど向上するのかについて太陽光メンテナンス技士の立場から詳しく解説します。

点検やメンテナンスを自分で行おうと思っておられる所有者の方もこの記事を読めば、

太陽光パネルの点検やメンテナンスの必要性、業者にお願いするメリット、デメリットがわかっていただけます。

太陽光パネル発電とは

太陽光パネルとはその名の通り、太陽光で発電するためのパネル状の設備です。太陽光パネルの内部には半導体という部品があり、これに太陽光が当たることで光エネルギーを直接的に電気に変換することで発電するという仕組みです。

太陽光パネルには、単結晶シリコン、多結晶シリコン、化合物(CIGS)系、近年注目を集めているペロブスカイト太陽電池などいくつか種類がありそれぞれに特徴があります。

単結晶シリコン

単結晶シリコンは数多くある太陽電池の中でも歴史が古く実績もある太陽電池です。単結晶シリコンのメリットはシリコン原子が規則的に並んでいて高純度のためシリコンのパワーを最大限活かすことができます。このため、高い変換率を示し、1つの大きな結晶からできているので、セル表面に切れ目や割れ目がなく見た目がきれいで発電量も高いのが特徴です。

多結晶シリコン

多結晶シリコンは、単結晶シリコンの製造コストを抑えるため簡略化する目的でつくられました。太陽電池を作る過程で不良となったシリコンなどを再利用して製造しているため、コストがかからず、大量に生産することができ価格も低めです。ただ発電量は単結晶に比べてやや低めです。

化合物系(CIGS系)

化合物系(CIGS系)と呼ばれる太陽電池はシリコンを使わず、銅やインジウム、ガリウム、セレンを原料とした化合物半導体の太陽電池です。

シリコンの代わりにこの4つないし3つの元素を組み合わせて作ります。

高温時の出力低下が少なく太陽光に当たると徐々に出力が向上し安定し、モジュール上に部分的な影ができた場合の出力抵抗が少ないのが特徴です。

ペロブスカイト太陽電池

次世代の太陽電池として注目されているのが塗る太陽電池と呼ばれるペロブスカイト太陽電池です。結晶構造の発電層膜をプラスチックフィルムなどの基板に塗布して構造し、薄くて折り曲げることもでき変換率も高いことから注目されています。

このように太陽光パネルの中にも様々な種類と特徴があり、価格や発電量の面でそれぞれにメリットやデメリットがあります。

太陽光発電の種類 低圧と高圧の違い

定格出力交流電圧
小規模発電10kW~50kW600V未満
大規模発電50kW~2000kW600V以上
メガソーラー2000kW以上7000V超

電気事業法上において、高圧の太陽光発電は低圧にはない義務が定められています。

経済産業省令で定める技術基準に適合するように電気工作物を維持する義務。

(法第39条)電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規程を定めて届け出る義務。

(法第42条)電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために、電気主任技術者を選任して届け出る義務。

(法第43条)なお、経済産業大臣又は産業保安監督部長の承認を得て、自家用電気工作物に関する保安管理業務を外部に委託することもできます。

使用の開始前に技術基準に適合することを自ら確認し、その結果を届け出る義務。(法第51条の2)なお、経済産業大臣又は産業保安監督部長の承認を得て、自家用電気工作物に関する保安管理業務を外部に委託することもできます。

高圧の太陽光発電設備の義務を簡単にまとめると

保安規程を定め、管轄の消防署等へ届け出る義務

電気主任技術者の選任を行い届け出る義務

第一種工事士または認定電気工事従事者による作業義務

キュービクル(変圧器)の設置が必要

高圧や特別高圧の設備には、専門の受変電設備受変電設備(キュービクル)や自営線という送電用電線、場合によっては鉄塔の建設費用など高額な自己負担が生じます。

また、電気主任技術者による保安義務が発生するため有資格者を外部委託や自社内で選任する必要があり通常ランニングコストの点でも低圧発電設備より費用がかかります。

太陽光発電の種類 屋根上 野立て それぞれの特徴 メリット、デメリット

太陽光発電には、低圧・高圧・特別高圧といった区別がありますが、野立てと屋根上といった設置される場所によってもそれぞれ違いがあります。

屋根上の太陽光発電とは自宅や工場などの施設の屋根上に設置された発電所のことを指します。

野立ての太陽光発電とは、自宅や工場の屋根上ではなく、空地となっている利用していない土地や遊休地などに、太陽光発電設備を設置し発電することを指します。

屋根上の太陽光発電所の設置方法は、折半屋根、陸屋根といった屋根の種類によって異なります。

折半屋根

折半屋根の写真

工場の屋根でよく見かけることのある折半屋根は折り曲げ加工した金属の板を屋根材に使用した屋根です。屋根材を専用の取り付け金具で挟んでボルトでパネル1枚を6カ所で固定するキャッチ工法が主流です。

固定方法は容易なため、材料の費用も安く設置費用が安いのが特徴です。

陸屋根

陸屋根の写真

ビルの屋上でよく見かけることのある陸屋根はフラットの形をした屋根です。

コンクリート基盤を造りアンカーボルトを打って固定する方法や、直接架台を置いておもりで押さえる置き型重心の設置方法、パネルの周りをガルバリウム鋼板で囲って自重だけで設置する方法があります。陸屋根は折半屋根のように固定する部分がないので、設置する際は、大掛かりな工事が必要となります。

屋根の種類によって固定方法が大きく変わりますので、設置にかかる費用も当然異なります。どの設置方法でも、設置角度が浅い場合、近隣の環境によって砂埃や鉄粉、錆、油煙、黄砂など流れ方法のフレーム付近に汚れが溜まりやすいことがあります。

太陽光パネルのメンテナンスとは

太陽光パネルのメンテナンスとは、太陽光パネルやパワーコンディショナーなど発電所内設備の点検やパネルの洗浄、草刈りを定期的に行うことです。

太陽光パネルのメンテナンスを定期的に行うことで、異常を早期に発見し修理や洗浄によって発電所内の火災リスクを防ぎ、発電効率の維持、向上が期待できます。

定期点検の頻度は、50kW以上の発電所は年に2回以上実施しなければならないと電気事業法に規定されています。周辺環境の状況を踏まえつつ、設置者及び保守管理の受託者の方が設置管理や運転継続の観点から必要であると考える点検頻度を設定し、適切な保守管理を行うこととされています。

点検の種類

点検にはいくつか種類があり、電気点検、絶縁抵抗、接地抵抗の測定、パネルの目視点検やドローン点検、赤外線点検、架台やパワーコンディショナー、集電箱の状態の目視点検や積算発電量の確認などがあります。

点検

電気点検は、発電量やIVカーブ、絶縁抵抗や接地抵抗などの数値を計測し、過去のデータと比べることで発電効率の低下や異常の特定を行います。電気点検を怠ってしまうと発電効率の低下につながるだけでなく、異常を放置することになるため、火災のリスクにつながってしまいます。ですので怠ることなく知識を持った専門家に点検を依頼してもらうべきです。また、電気点検だけでなく目視点検もきっちり行うことで、パネルや架台、基礎のひずみ、ひび割れ、ボルトの緩みを発見し落下等の事故を未然に防ぐことができます。

ドローンによる太陽光パネル点検

ドローンによる太陽光パネル点検の写真

ドローンによる太陽光パネル点検とは、赤外線カメラと可視光カメラを搭載したドローンを使った点検です。従来、パネルの点検は地上から人の手で点検が行われていたため、規模の大きい高圧やメガソーラーと呼ばれるような発電所では多くの人員や長い点検期間に加え、高額な費用が必要でした。

 一方、太陽光パネルのドローン点検では、広範囲の太陽光パネルを一気に点検することが可能です。したがって長い期間をかけての点検や多くの人員、高額な点検費用が必要ではなくなるので、効率的で低価格に点検を行うことができます。

ドローン点検によって異常が発生している箇所の特定ができるので、実際に人間が現場に行き、異常個所の修理、パネルの交換、汚れの洗浄といったメンテナンスを行います。

株式会社O’sCorporationでは、ドローンの国家資格である一等無人航空機操縦士、太陽光メンテナンス技士という資格をもった専門家がドローンを使って点検し異常箇所の特定を行います。太陽光パネルのドローン点検や費用に関しまして何でもお答えいたしますのでお気軽にお問い合わせください。

洗浄

太陽光パネルを洗浄している写真

メンテナンスフリーと言われている太陽光パネルですが、パネルの設置角度が浅く汚れが雨で流れない場合、そのまま汚れを放置してしまうと太陽光の受け入れを妨げ、発電効率を低下させ、結果として発電量が下がってしまいます。太陽光パネルの表面温度はは25℃が最適と言われており、表面温度が25℃を超えて上昇すればするほど発電効率は下がってしまいます。

汚れを放置してしまうと汚れに熱が集まりホットスポットの原因となり発電効率が下がってしまい、最悪の場合は火災事故の原因になりかねません。

発電量が下がってしまうことで売電にも大きく関わってしまいますので大きな損失となってしまいます。

汚れの付着や蓄積が見受けられる場合、最適な時期、方法での太陽光パネル洗浄を行うことで発電効率の維持、向上が期待でき将来的な損失を防ぐことができます。

株式会社O’sCorporationでは、清掃会社として培ってきた知識を活かしたパネル洗浄を実施しています。パネル洗浄や費用に関することなど、太陽光メンテナンス技士がお答えいたしますのでお気軽にお問い合わせください。

業者選び

電気点検や目視点検、ドローン点検、除草、洗浄など太陽光パネルの発電効率維持や向上のための業務を行ってくれる業者は数多くあります。太陽光パネルのメンテナンスに関して業者にお願いする際は、費用、専門的な知識を持ち、太陽光メンテナンスに関する有資格者が在籍しているか営業所の場所は、発電所に近い場所にあるか。何か異常やトラブルがあった際に迅速に対応できるか。口コミは良いか。を参考に業者を選ぶことで、保守、メンテナンスを安心して任せられるでしょう。

自分でできるメンテナンス

電気点検や修理など専門的な知識の必要となるメンテナンスは業者に依頼することをおすすめしますが、自分で行うことも可能なメンテナンスもあります。

パネル、架台や基礎の目視点検、パネル表面の洗浄、発電所内の草刈りは専門知識がなくても行うことができます。

ただそれぞれ注意すべきポイントがありますので紹介します。

まず目視点検に関しては、パネル表面のひび割れや沈みがないか、発電所内の雑草が伸びてパネルに影を作っていないかを定期的に確認するとよいでしょう。ただ、高圧やメガソーラーと呼ばれるような特別高圧の発電所の場合は、確認するパネルの枚数が多いためドローンを活用している専門業者に依頼するのが効率的で費用も抑えられるのでよいでしょう。

洗浄は、パネルの上に乗らないこと、パネルに細かい傷をつけてしまう恐れがあるので高圧洗浄機を使用しないこと、水道水を使用するとカルキが残るのでしっかりと水を切るか、純水を使用すること、環境負担になるような洗剤を使用しないことなど多くのポイントがあります。簡単にとれるような汚れは自分で行ってもよいですが、取れにくい汚れが多い場合やパネルの枚数が多い場合は専門業者に依頼するのが良いでしょう。

メンテナンス費用相場

50kW以下年間10~15万円
高圧・特別高圧200万円~400万円 / 1メガ

太陽光パネルのメンテナンスは、点検、除草、洗浄といったメンテナンスを行う内容や発電所の規模によって費用は異なります。低圧(50kW以下)の場合は、点検にかかる費用として年間10万円から15万円、高圧や特別高圧の場合は、年間1メガあたり200万円から400万円と言われています。50kw以下の場合3万円、500kW以下の場合6万5千円、2000kW以下の場合13万円という業者や1日点検10万円という業者など、業者によって値段設定が違うので問い合わせするのがよいでしょう。

洗浄の場合は1枚当たり500円から1000円に加え諸経費がかかる業者が多いです。

洗浄500円~1000円 / 枚

いずれにしても発電所の規模によって費用が異なることが多いため、相見積をとってみるとよいでしょう。

まとめ

ここまで太陽光パネルのメンテナンスの必要性や費用について記載しました。メンテナンスを怠ってしまうと発電効率が下がってしまい、設置した時の発電量のシュミレーションより低い値となってしまい、投資に対してのリターンも下がってしまいます。

また、火災事故の事例もあるため、定期的な的なメンテナンスは必須です。

メンテナンス内容や費用は業者によって違うことが多いため、いくつかの業者に問い合わせ、見積もりを依頼するのが良いでしょう。

株式会社O’sCorporation はドローン点検、除草、パネル洗浄など太陽光のメンテナンスを得意とする企業です。お客様の要望に沿ったメンテナンスをご提案いたしますので、お困りごとやお見積りなど、どんな内容でもお問い合わせください。